私はこうして「似顔絵師」という職業を選びました

みなさんと同じように私も高校生の進路決定の時期に、働くならどの職種を選ぶべきか悩みました。

プチ帰国子女という経験を生かして「英語の道」or 好きな事を仕事にする「絵の道」、大まかにこの二択でした。

周囲の大人の意見(中には絵の世界に詳しい人もいました)は

  • その二択なら絶対に英語の方が良いよ
  • 英語を習得しておけば仕事に困らないよ
  • 絵の道は厳しいよ
  • 絵の道で成功しているのはほんの一握りのさらに一握りだよ
  • 君 身体がガッチリしててしっかり者だから女警官にでもなれば?(当時太っていただけw)

と、だいたいこんな感じでした。

絵の道に悲観的な意見が多い中、私が考えていた事は

  • 日本は英語の教材で溢れている。日本に住んでいる限り英語はいつでも好きな時に勉強出来るから、急がなくても大丈夫。
  • むしろやっと自分の好きな学校を選べるなら、やっぱりこの先の人生で間違いなく一番若い今のうちに絵の道をトライしてみたい。
  • 絵の道で失敗したら、その時の現実に自分の夢を壊してもらおう。
  • その方が後悔するよりずっと気持ち良いと思うから。

と、浅い人生経験をフルに活かして、こんな事を考えていました。

そして高校卒業後、通っていた専門学校の近くで似顔絵の日本一を決める大会「似顔絵登竜門(現在の名前は似顔絵楽座)」が開催され、そこの学生部門に出場した事が一番の決定打になりました。

似顔絵楽座

2007年10月の事でした。

大会は二日間あり、初日は学生チーム部門、二日目はプロ部門。学生部門の優勝者は翌日のプロ部門にも出場出来るというルールでした。

もちろん優勝は出来なかったのですが、二日目にお客さんとしてプロの方々と優勝した学生さんに描いて頂きました。

作家名と画像は出しませんが、以下に当時私がまだ学生で似顔絵の知識などない純粋な時期に感じた事を赤裸々に書きます。

  • 1枚目プロの方に。「えっ私ってこんなにブサイクなの(ショック)、というか絵こんなに下手でもプロって言って良いの?」
    (前日の学生部門で敗退しているので、かなり辛口な上にひねくれてました、すいません)
  • 2枚目も別のプロの方に。「これってほぼデッサンだな。似顔絵的な面白さは感じないな。きっと友達に見せても盛り上がらないだろうな」
  • 3枚目は前日学生部門で優勝された方に。「絵はキラキラ・フワフワで可愛いけど似てるかどうかピンとこないな。私はこの絵に負けたのか…自分が描きたい似顔絵と、お客様の需要との差を感じる」
  • 4枚目はまた別のプロの方。「これはショック!すごくブサイクw。デッサンが間違ってるとかではなく、イラストの技術も高いんだけど…もはやプロのイラストレータって何を持って上手いとされているのか理解不能、まさにアート…」

ここでますます絵の世界が分からなくなっていきます。

  • そして5枚目もまた別のプロの方。「自分では似ているかどうか分からないけど、今までの人よりは似ていると思う。考えて描いてくれたのが伝わって来る。一枚の絵としての完成度も高くて嬉しい!」
  • そして最後の6枚目はまた別のプロの方。「自分でもすごく似てると感じられる。しかも可愛い(これ大事)。似顔絵的にお世辞や嘘を描いているワケでもないのに、なんでこんなに可愛いくて似てるんだろう?私がイメージしていたプロの似顔絵師の技術ってまさにこんな感じっ!」

と、全6枚のうち本当に心にヒットしたのは1枚だけでした(なんて辛口な学生!当時の自分の性格の悪さよw)

性格は悪かったですが、この大会を通じて学んだ事が、私を「似顔絵師」という職業に導いてくれました。

  • 思ったよりもプロの「似せるこだわり」が弱い
  • そして当時学生だった私が「上手くない」「似てない」と思った似顔絵でもまだまだプロになれる業界
  • この業界にはまだまだ隙間がある。自分が欲しいと思える似顔絵を描ける作家になればきっと仕事に出来る気がする

これ10年近く経った今だから書けますが(笑)

当時、似顔絵の知識などなく、プロの努力も知らない生意気な私の本音はこんな感じでした(今思うとかなり嫌な学生)

10年前と今とじゃ、随分似顔絵業界も変わりましたが、あの時、こんな風に思えたからこそ
10年後の今でも似顔絵師として食べていけてます。感謝!

似顔絵に限らず、もしも絵で食べていきたいけど悩んでいる人がこれを読んでくれていたら、「似顔絵師」って書いてある職業紹介のサイトや本ってありましたか?

絵の仕事、絵にまつわる作家周りの仕事も含めたら、あなたの知らない職業がたくさんあるから、探してみて!

そして出来れば第一線で活躍してる人に直接会いに行くか、せめてその職場の近くまで行ってみたり、もしくは憧れの人の近くで働いている人でも良いから会いに行ってみて!

もしも自分が赤の他人だったとして、自分が描きたいと思う絵で自分が喜ぶイメージが湧くなら、きっといつか仕事に出来るよ。

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